大きな小野君。【完結】
だ、誰?
私の口を塞ぐのはゴツゴツとした手。
筋肉の付いた腕は、私のそれとは違っていて。
途端に身体が緊張で強張った。
「しっ」
バクバクと鳴る心臓。
その時、美月がまだ電話しながら廊下を通り過ぎた。
その声が段々と遠くなって、私はホッとした。
「行った、か」
頭上からそんな声が聞こえる。
テンパってて気付いてなかったけど、今私思いっ切り抱き締められてる?
慌てて離れようと身体を動かすと、それに気付いたらしい。
「ごめんごめん。苦しかった?」
パッと手を放して、やっと私を解放してくれた。
すぐに離れてその人物を確認する。
すると、そこにいたのは。
――――小野君の友達だった。