大きな小野君。【完結】
……この人。
素行が悪いって言われてる違うクラスの男の子だ。
確か、名前は。
「大、何してんだよ。帰ろー」
そうだ、大って書いてまさる。
小野大って言うんだ。
小さいが入ってるのに、大きいって名前。
入学式のクラス発表で、自分の名前を探してる時に見つけたんだけどあまりにも印象的で覚えていた。
大って呼ばれた彼は、すぐにその友達の元へと向かった。
「あっ」
ありがとうも、ごめんなさいも、ボタンをどうすればいいのかも聞いてない。
声をかけようとしたけど、既に彼は帰ってしまった後。
「紀花。大丈夫?」
心配そうに私の顔を覗きこむ美月。
ハッとした私はすぐに笑顔で頷いた。