大きな小野君。【完結】
「……性格悪」
「っ!な、何よ」
「高田さんを傷付けるのは許さないから」
そう小野君が言うと、パタパタと足音が聞こえてそれが遠くなっていく。
きっと美月がいなくなったんだろう。
この目を覆ってるのは小野君の手なのか。
「ごめん。……どうしても許せなくて」
ぼそりと遠慮がちな小野君の声が頭の上から聞こえた。
私は小野君の手にそっと自分の手を重ねる。
「えっ」
少しだけ驚いた小野君の声。
その手をきゅうっと握ると、私は声を押し殺して涙を流した。
わかってたのに。
美月が私を友達だと思ってなかったのなんて。
だけど、信じたくなかったんだ。
「……」
小野君は何も言わずに、私が泣き止むまでずっと手で覆っていてくれた。
涙を隠してくれた。
他の生徒にじろじろ見られたと思うのに。