大きな小野君。【完結】
「だからさ、俺の制服のボタンに髪の毛が引っ掛かった時、その綺麗な黒髪を切りたくなんてないなって思った。
咄嗟に身体が動いてたんだ」
「……」
「ってのが、俺の告白。驚いた?」
私は何度も首を縦に思い切り振った。
それに小野君は吹き出すと、見た事ないぐらい優しい目をした。
「驚きすぎ」
「だ、だって」
信じられない。
今さら心臓がバクバクして来たし。
「高田さんは俺の事、どう思ってる?」
ドキドキしながら小野君の顔を見ると、思った以上に真面目な顔に心臓が大きく跳ねた。
すぐに視線を逸らした私はぎゅっと目を瞑り、気持ちを落ち着かせるためにはあっと息を吐く。
それから、再度視線を小野君と合わせた。
「……わ、私も小野君の事好きです」
「まじで?」
「うん」
「や、ば。嬉しすぎて顔ニヤける」
小野君は顔を背けると、両手で覆う。
「でも、私小野君の事何も知らない」
「そんなの、これから知っていけばいいんだよ。
知りたい事があれば聞いて。俺も聞く」
「うん」
「……どうしよ、まじで嬉しい」
それから小野君は立ち上がると、スッと私に手を差し出した。