大きな小野君。【完結】
「ん」
その手に私はゆっくりと手を伸ばす。
それから指に自分の指を絡ませると、昇降口へと向かった。
手から伝わる体温。
ドキドキしながら私はその手を握り締めた。
昇降口に到着した時、
「あ!」
そんな声が背後からして二人して振り向く。
そこに立っていたのは歩君だ。
「おはよう!って、二人うまくいったの?」
「……まあ」
小野君は繋いだ手を少しだけ上げると、照れ臭そうにぼそっと言った。
それに満面の笑みを見せる歩君。
「おめでとう!よかったな。
大が好きなの俺、知ってたし」
「は!?嘘だろ?」
「まじまじ~。じっと見つめてたじゃん」
「……」
嬉しそうに茶化す歩君。
小野君は気まずそうに口元を手で覆った。
「そっかそか。あ、美月の事は俺がなんとかするから。
だから、二人は安心してな」
そう言うと、ニカっと笑った歩君はピースサインを作って先に教室へと向かった。