大きな小野君。【完結】
髪の毛が引っ掛かるなんて、そんな嘘みたいな偶然から私と小野君は話すようになった。
だけど、お互いもっと前から気になってたなんて。
何が起こるかなんて、本当にわからない。
美月の事を考えると、チクリと胸が痛むけど。
……歩君とうまくいってくれるといいな。
小野君と話せるようになったのも、こうして付き合うきっかけをくれたのも。
全ては美月のお陰だから。
だから、もう一度話せるといいな。
「大丈夫。きっと、また話せるよ」
私の気持ちをわかってか、小野君がそう声をかけてくれた。
――――私もそうだと信じたい。
「うん。ありがとう」
「ん」
少しぶっきらぼうに返事をした小野君は、その後はにかんで笑った。
【完結】
2016.1.26