もしも。

好きなものを好きだと言わなければ、

偏見を喰らうこともない。


ずっとそう考えてた。

必死に私を押し殺した。


その結果、好きなものを好きだと

ありのままに表現し続ける彼女に嫉妬したんだと思う。


行き場のない怒りは私自身に返った。


「その子が、サキと正反対か、

もしくは、サキと全く同じタイプかだよね」


相談相手の塾の先生からそう言われて

怒りがスッと引いた。

< 6 / 32 >

この作品をシェア

pagetop