青春ストーリー
「りんごジュース、ありがとう。」

鍵がかかっている屋上の扉の前。少し薄暗く、静かな所に亜弥さんの声が響く。

「別にいいよ、それくらい。それより何で無視なんかしたのさ。会釈返してくれるだけでよかったのに。」

私は口を尖らせながら言った。亜弥さんは少し俯きながら暗い顔で言う。

「それは…ごめん。」

(別に謝ってほしい訳では無いんだけど…。)

私はなぜ無視したのかもう一度問うと、亜弥さんはか細い声で答えた。

「だって、私嫌われているから…」

(誰に？主語をつけてくれ…。)

私は心の中で毒づきながら、きっとクラスの人だろうなと思った。私は相談にのろうと思い、口を開くと、さっきの自分の言葉に押されるように、自分から理由を言ってくれた。

「私、遥稀と会ったのは中学なんだけど、朝柊とは小学校から仲良くて。ずっと一緒にいたんだよね。」

亜弥さんによると、小学校の頃から仲良しだった二人は、中学校、同じクラスになったことでいつも一緒にいるようになったらしい。
今宮君や、転校してきた早坂君とずっと一緒にいれば、当然女子からの妬みや嫉妬がつもる。だが、亜弥さんはまったくそれに気付かず、クラス替えで二人と離れた時、ふと、女子が目を合わせてくれないことに気がついたらしい。
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