青春ストーリー
私の一言に、亜弥さんは驚いてゆっくりと顔を上げた。
意味がわからないように「え?」と聞き返す亜弥さんに、私は言う。

「だって、亜弥さんは自分の悪口聞いてないんでしょ?なのに自分が嫌われているとか、自意識過剰だと思う。」

私の言葉にすかさず反論しようと亜弥さんは口を開く。

「でも中学の時もそうだったんだよ。」
「中学の時はそうだったかもしれないけど、今は高校に入って一ヶ月しか経ってないんだよ。まだどんな人か分からないのに、嫌われるわけないじゃん。」
「だからそれは朝柊や遥稀と一緒にいるから…!」

最後の方はまるで喧嘩をしているかのように、亜弥さんは声を荒げた。顔を真っ赤にし、息をあげている亜弥さんを、私は息が調うまでなにも言わずに見ていた。それによって長い沈黙が訪れる。
やっと落ち着いた亜弥さんは、深呼吸をする。それを見た私は、静かに亜弥さんに言った。

「亜弥さん。亜弥さんに友達ができないのは亜弥さんのせいだと思う。それに、私には、自分に友達ができないことを、今宮君や早坂君のせいにしているように見えたよ。」
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