お隣さんlover
東京にある本社からは飛行機に乗らないとたどり着かない地方都市の中核病院。
本来なら、俺のカバーする範囲ではないんだが、そこの病院長とうちの部長が懇意で、わざわざ毎週営業にきている。
その病院ですれ違う、女っけの少ない女性。中庭の物陰で腰に手をあてて栄養ドリンクを一気飲みしている姿を見てから、なんとなく目が離せないでいる。
元嫁との騒動で女はもう充分だと思っていたのに。
決して飛び抜けた美人とかではないけど、バリバリ働いているその姿はとても綺麗だと思った。
元嫁とのあまりに対照的な雰囲気だからか、彼女となら上手くやっていけるんじゃないかなんて幻想まで抱いて。
おいおい。俺いくつだよ。どう見ても彼女のほうが圧倒的に年下だろ。すれ違った知り合いの医師に彼女のことをさり気なく尋ねる。
白石うらら。小児科医。27歳。彼氏の有無は不明。
そんなことを聞く俺が珍しいから、と言ってその医師は、秘密だからなと彼女が明日の10時55分の飛行機で東京の学会に向かうことを教えてくれた。
その足で、今日の最終便を抑えていたのを明日の10時55分の便に変更し、有給をとった。
俺、いったいいくつだよ。