お隣さんlover


「おーい、うららー?おーい?」


思い出になったはずなのに、なんでここにいるんだろう。6時間前に別れた元カレが来るはずだった部屋で、10年前の元カレが酒を飲んでる。


「うららー?ぼーっとしてんの?」

「.....。昔のこと少し思い出してた。」


「うらら、全然変わってねぇな、俺、すぐわかったよ。生活、だいぶ不規則っぽいけど、仕事、なんしてるの?」


「医者。でもそのせいで今日、振られた。サイアク。」


「おお、医者になったんだ。振られたって、お前さー、高校んころからの夢叶えといて『サイアク』はねぇだろ。そいつに見る目がなかったんだよ。」


「だって。だって。3年も付き合って、そろそろ結婚かな、なんて思ってたのに。それも私だけだったってことで。乗り換え先が寿退社狙いの子なんてやっぱ働いてたらダメなのかなって思っちゃって」



新の、大きな手が、優しく私に触れる。昔、大好きだった、少しゴツゴツした、でも男の人にしては細めの手。


「やっぱり、そいつ見る目ねぇよ。うららの1番キラキラしてるときって誰かの為に働いてる時だもん。俺、ボランティアで働いてるうらら見て『この子好きだなー』って思ったんだよ?」



新の、腕に抱かれた。後ろからぎゅっと抱きしめて、よしよしと私の頭を撫でる。こうしてもらうと、どんだけ落ち込んでても元気になってた。




それが今でも効くなんて、びっくりだけど。






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