黒い野バラ

一人

蝉の鳴き声が聞こえなくなる時期。基本的に私が一番好きな季節、秋が巡ってきた。

秋のいいところは…外でサボってもちょうどいい天気!それぐらいだな。

夏休み明けで、なんとなくクラスの奴らはみんな夏休みの前と違って見える。


「えぇ、三島さん何も変わってないじゃん!」

朝礼が終わってポツンと座ってたら高部理香子が声をかけてきた。

このクラス、いや、この学校で唯一私と会話してる子。

今年2年生になって初めて同じクラスになった高部は、当日もちょうどこの勢いで声をかけてきたのだ。

会話しているというよりは、高部が一方的にしゃべってる感じだけど。

「三島さんはいつも相変わらずでいいね!」

私の前の席からこっちを向いてニコニコしてる。

直視。正直言って苦手だ。

高部はいつも目をそらさない。

そんなあんたこそ相変わらずでしょ。

結局思ったことは口に出さず終わってしまう。私が何も言わなくても高部はニコニコしながらこっちを見てる。

そして予鈴が鳴ると前を向いて教科書を取り出す。


< 2 / 5 >

この作品をシェア

pagetop