黒い野バラ
高部の後ろ姿をボーッと見つめてそんなことを考えていた。

多分いつ授業が始まったかもわからないぐらい自分の世界に入ってしまったんだろう。

気が付けば授業はもう終わっていた。
高部がまたこっちを向いていた。

「三島さん、何考えてんの?」

変だ。
いつもなら誰にでも冷たく言い放つ私だが、高部には言ったことがない。

おそらくあの直視する目のせいなんだろう。
私はそう思っていた。

結局また何も言えず、シカトするのが精一杯で、私は教室から出てきてしまった。


ふらふら校庭を歩く。

休み時間だからどこも賑わっていた。

私はいつもサボる時に行く私だけの場所(少なくとも私はそう思っていた)へと向かった。
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