溺愛伯爵さまが離してくれません!
1 リーナ・サイダル
朝の日課
「――――起きて下さい、伯爵さま」
少し強めの口調でそう、声を掛けた。
大人3人は軽く眠れるであろう広い寝台に、優雅に身体を沈め夢の世界へと旅立っている、この屋敷の主人。
カイル・ディ・アルフォンソ伯爵。
今年21になる、アルフォンソ家の当主であります。
眉目秀麗、頭脳明晰の非の打ち所のないお方。
ひとつこの方のダメな所を上げるとすれば、女にだらしがない、といった所でしょう。
・・・本当にこのお方は朝が弱い。
声を張っても、微塵も動く気配がありません。
その代わり夜は強く、夜な夜な行われるパーティーに参加しては浮名を流す始末。
決まった女性を見つける事なくふらふらと遊び呆けているものだから、彼に付いたあだ名は「夜会の魔術師」。
あらゆる女性を彼の美貌と巧みな会話で惑わし、そして明け方近くまで蜜な時間を過ごしているのでした。
・・・ええ、大変お疲れなのでしょう、それは分かります。
が。
アルフォンソ家の当主たる者、女にうつつを抜かしダラダラと寝ている訳にはいかないのです。
少し強めの口調でそう、声を掛けた。
大人3人は軽く眠れるであろう広い寝台に、優雅に身体を沈め夢の世界へと旅立っている、この屋敷の主人。
カイル・ディ・アルフォンソ伯爵。
今年21になる、アルフォンソ家の当主であります。
眉目秀麗、頭脳明晰の非の打ち所のないお方。
ひとつこの方のダメな所を上げるとすれば、女にだらしがない、といった所でしょう。
・・・本当にこのお方は朝が弱い。
声を張っても、微塵も動く気配がありません。
その代わり夜は強く、夜な夜な行われるパーティーに参加しては浮名を流す始末。
決まった女性を見つける事なくふらふらと遊び呆けているものだから、彼に付いたあだ名は「夜会の魔術師」。
あらゆる女性を彼の美貌と巧みな会話で惑わし、そして明け方近くまで蜜な時間を過ごしているのでした。
・・・ええ、大変お疲れなのでしょう、それは分かります。
が。
アルフォンソ家の当主たる者、女にうつつを抜かしダラダラと寝ている訳にはいかないのです。
< 1 / 166 >