溺愛伯爵さまが離してくれません！
「あの、ここに使用人は・・・」

「今は私一人なの。働いていた人が高齢で辞めてしまったのよ」

ひとり・・・？
結婚しているのでは？

「あの、エレンさんの旦那様は？」

「ああ・・・、もう何年も前に病気で亡くなってしまったの。子供もいないから、それからはずっとひとり」

「そう・・・だったのですか・・・」

「あ、でも、気にしないで、今の生活には満足しているのよ。夫の残してくれたこの家で悠々自適に暮らせているし。・・・だけど少しひとりでこの家を切り盛りするのは疲れちゃって。だから私と一緒にこの家の事をしながら、お話し相手になってくれれば嬉しいのよ」

エレンさんは笑いながらそう話します。
でも、どこか垣間見える切ない表情。

当たり前よね・・・。
愛する人に先立たれて、ずっとひとりでいるって、切ないもの。
ひとりでは広すぎるこのお屋敷でなんて。

私がエレンさんを、少しでも元気づけることが出来るのなら・・・。

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