溺愛伯爵さまが離してくれません!
「私でよければ、改めてよろしくお願いします」

そう、軽く頭を下げながら言うと、エレンさんの表情はぱあっと明るくなりました。

「ああ!よかったわ、ありがとう!えっと、お名前は?」

「リーナ・サイダルと申します」

「リーナね、これからよろしく。で、ちょっとだけ、あなたの事を聞いてもよろしいかしら?あ、言いたくなければ言わなくていのだけれど」

「あ、そう・・・ですね。私はある伯爵さまの侍女をしていたのですが、ある理由で居られなくなり、その」

「その?」

「・・・逃げて、来たんです」

どう反応されるのか怖くて、言葉を詰まらせぎみに話しました。
それでも目の前のエレンさんの表情は、依然穏やかなまま変わりません。
その事に少しホッとします。

「そう。その伯爵さまと何かあったのね?」

「何か・・・というか、まあその・・・」

「好き、だった?」

「・・・はい」

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