溺愛伯爵さまが離してくれません!
「・・・ったく、いい加減に落ち着いたらいいのに。何をやっているのでしょう」

「すみません・・・。私が不甲斐ないばかりに」

「あなたが謝る事ではないのですよ、リーナ。伯爵を継ぎ、この屋敷の当主としての自覚が足りないカイル様が悪いのです。後でガツンと言っておかないと」

眉間に皺を寄せ、クレアさんはそう言いました。
そして、私のをポンと叩きます。

「あなたも・・・辛いわね、リーナ」

「・・・はい」

クレアさんは、私が伯爵さまを好きだという事を知っています。
自分から話した訳ではありませんでしたが、いつの間にか分かられていたのです。

「でも、仕方のないことですから。どんなに伯爵さまが真面目でも、想いは叶うことはありません。どのみち辛い事には変わらないので」

「・・・そういう物分かりの良すぎる所が逆に心配なのよ。あまり思い詰めてはダメよ?思い詰める前に私にぶつけても構わないのだからね?」

「ありがとうございます、クレアさん」

クレアさんは私を安心させるような、そんな優しい笑みを浮かべていました。

「・・・それで、クレアさん」

「どうしたの?」

「私、見合いの話を受けようと思っているのです。・・・このまま一人でいるのも、その・・・苦しいですし」

「そう、・・・決めたのね」

「はい」


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