溺愛伯爵さまが離してくれません!
そんなやり取りをしていると後ろから扉が開く音が聞こえ、その音に私は話すのを止め、後ろを振り向きました。
湯あみを終えてさっぱりした表情の伯爵さまは、先程のムッとした顔はどこへやら、ほんのりと笑みを浮かべておりました。

「クレアじゃないか、どうした?こんな所で」

「こんな所で、ではないですよ、カイル様。また女性の心を弄ぶような真似ばかりして・・・!お父様のギルバード様がお嘆きになりますよ!?いい加減落ち着いたらどうです!?」

「いてて・・・、朝からお小言はよしてくれクレア。その大きな声に頭が割れそうだ。それに弄んでなどいないよ、全て同意の上さ。これも貴族界で生きて行く為には必要なことなんだ」

耳を手で押さえながら、伯爵さまは困ったような表情を浮かべていました。
そして逃げるように食堂へと向かわれます。

「カイル様!まだ話は終わっておりませんよ!」

「後で聞く!今日は忙しいんだ」

・・・よく言う。
さっきまであんなにベッドの上で悶えていた癖に。

< 12 / 166 >

この作品をシェア

pagetop