溺愛伯爵さまが離してくれません!
4 リーナと伯爵さま

その時、伯爵様は

「はあ・・・」

馬車の中で、ひと際大きなため息をついた。

外は生憎の曇り空、どんよりとしている。
まるで僕の心の中のように、薄暗くてどこを探しても明るい場所はない。


リーナがいなくなってから早3か月が経とうとしていた。
時間の許す限り、僕はあらゆる場所を探した。
寝る間も惜しんで色々な街に出向き、少しでも情報がないか聞きまわる。

見たかもしれない、いたかもしれない。
そんな不確定な情報ばかりで、結局それがリーナだったのか今でもわからない。
探しても本人が見つからないんだから、どうしようもない。

どこに行ったのだろう。どこにいるのだろう。
この広い空の下、どこかで元気にやっているのだろうか。

これだけ探しても見つからないと、悪い予感がいつも頭をよぎる。
考えてはいけないと分かっているのに。

ぶるりと身体が強張った。


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