溺愛伯爵さまが離してくれません！

「風邪でも引かれましたか？カイル様」

向かいに座るガルムが心配そうに声を掛けた。
ガルムがいるにも関わらず、目の前でため息を付いてしまったからだろう。

「いや、大丈夫だ。こんな時に風邪など引けないよ」

「ここの所ゆっくりとお休みになられておりませんから、どこかでお休みになられては？他の者たちも探しておりますし」

「問題ないよ。このまま捜索を続ける」

それ以上何も言われないようにガルムから目線を外し、馬車の窓から外の風景を眺めた。
こんな時に休んでなんかいられない。
一日でも、一時間でも、時間さえあるならリーナを探しに行きたいんだ。

その後も色んな街で聞き込みをする。
返ってくる答えは全て同じだった。

毎日のように歩いて、もう足が棒のようだ。