溺愛伯爵さまが離してくれません!

「・・・今日はルオンという街に行ってみましょう。そこは船着き場があって、船に乗れば海を渡った異国の地へと行く事が出来る唯一の港街です。もしかしたらリーナはその街に行ったかもしれません」

それから何日か経ち、この国に雨季がやってきた。
激しい雨が馬車を打ち付け、うるさいくらいにその雨音が響いている中で、ガルムはそう僕に話した。

この三か月間、国中の街を手分けしてほとんど探し回ったが、結局リーナを見つけ出すことは出来なかった。

この国の一番端にある、ルオンという街。
その最後の捜索の場へ僕を乗せた馬車は向かっているという。

「船に乗ってリーナは異国へと行った、という事かい?」

「その線は考えられます。ですが、その船に乗るには多額の料金が掛かる。リーナはおそらくその船に乗るだけの資金を持ってはいないはずです。ですが、その船に乗ろうと街に訪れた可能性は大いにある。もし、この街でもなんの情報も得られなかった場合、その場合は最悪の状況を考えざるを得ません」

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