溺愛伯爵さまが離してくれません!

決意

――伯爵さまが私をずっと探していた。

胸が熱くなって、それと同時に申し訳ない気持ちが溢れ、その場で崩れ落ちるように泣きました。
奥様はそんな私を優しく抱きしめてくれます。

ごめんなさい。ごめんなさい、伯爵さま。
そんなになるまで、私を探してくれていたなんて。

そこまで私を想ってくれて、私はなんて幸せ者なのでしょう。

あの時すれ違った人はやっぱり伯爵さまだった。
確かにあの瞬間私は伯爵さまの近くにいて、そして会う事が出来た。

もう、大丈夫。
私はとても恵まれている。
これからも、一人で生きていける。

伯爵さまは、私と一緒にいてはいけない人。
私みたいな未来のない人間に、縛られてはいけない人。
あの人は、煌くような輝かしい未来のある人だから。

だからもう、私から解放してあげなくては。

・・・それが、今私に出来る唯一の恩返しだから。

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