溺愛伯爵さまが離してくれません!
奥様の言葉に、私は何も答える事が出来ませんでした。
冷たいのに、どこかしら温かみを感じる、手。

奥様の言いたい事はわかります。
でも、どうしても会う勇気が出ないのです。

きっと伯爵さまは優しく私を迎えてくれるはず。
それが逆に辛くて、苦しくて。
きっとこんな身勝手な行動をしてしまった自分を責め続ける事になるでしょう。
そして、伯爵さまの未来を私が潰してしまったと、ずっと罪悪感に苛まれる事でしょう。

だから、会わない方がいい。
忘れてくれた方がいい。

・・・そう思ってしまうのです。



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