溺愛伯爵さまが離してくれません!
まさかそんな約束をされていたなんて・・・。

初めて知る事実に衝撃をうけ、言葉を発する事が出来ません。

「あと一年で、君に僕の気持ちを言う事が出来る。そう思っていた矢先に君は結婚する為に見合いをすると言いだして、とても焦ってしまった。それで無理を言ってあの見合いを潰させた。そして僕がリーナの見合い相手を探すと言って、これ以上リーナ達が何もしないようにしたんだ。でも、探す気は全くなかった。その日が来たら、僕がリーナの相手だと、そう言えばいいと思ったから」

「でも、それが逆に苦しめてしまったみたいで悪かったと思っている。こんな事ならもっと早く言えば良かったと後悔したよ。僕達の勝手な約束のせいでリーナ達を振り回してしまったんだから。本当にゴメン」

苦しそうな、辛そうなそんな表情を浮かべて伯爵さまは話されます。

でも私は、なぜかその話を聞いていくうちに心の中が温かくなって、霞がかった気持ちがすぅっと晴れて、悲しい涙ではない嬉しさゆえの涙が溢れてくるのでした。

「泣かないで、リーナ・・・。本当に僕が悪かった。許してくれないか?」

「ちが・・・違うのです、伯爵さま。私は嬉しいのです。伯爵さまがそこまで私を想っていてくれた事、私の為にそこまでしてくれた事。私は何も知らずに勝手に悩み、苦しんで、そして迷惑を掛けてしまった。私の方こそ謝らなければいけません。本当に申し訳ありません」

「リーナが謝る必要なんてないんだ。全て僕が悪いんだよ」

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