溺愛伯爵さまが離してくれません！

けれど庶民と結婚したレガートには、やはり風当たりが強かった。

どうやらレガートには結婚を約束していた伯爵家の令嬢がいたらしい。
しかしその話を蹴ってまで私と結婚した事で、コーレル家を援助していた貴族達はみな手を引き、貴族の輪から外されるようにレガートは孤立していく。

仕事も貰えず、援助もない。
生活は困窮していった。

それでもレガートは心配させまいと、私の前では常に笑顔を浮かべていた。
それが逆に心苦しかった。

沢山いた侍従達もどんどんといなくなり、食事も日を追う事に品が少なくなり、目に見えて苦しい事は分かっているのに。
それでも彼は私に明るく振る舞う。

無理をしているのが申し訳なくて、何も出来ない自分が腹立たしくて、おかしくなりそうだった。

結婚なんてしなければよかったのだ、そうすれば彼は幸せな道を進んでいたのに。
あの時、レガートの言葉を受け入れなければ、こんな事にはならなかったのに。

そう自分を攻める毎日だった。