溺愛伯爵さまが離してくれません!
日に日に衰えゆく身体。

歩く事が出来なくなり、立っている事が出来なくなり、そして座っていられなくなり。
気が付いたら私は一日中、天井をぼんやりとした瞳で見ているだけの身体になってしまった。

毎日お医者様らしき人が、私を診ては唸るような声を上げるだけで何も言わない。
お医者様の方を向く事すらとても億劫で、顔を見る事が出来ないのだけど、きっとその表情はあまり良くないのだろう。

その時に悟ったのだ。
・・・ああ、もう私は先がないのだ、と。

まだ、やりたい事はあったのに。
まだ、伝えたい事があったのに。

それすらも考える事が億劫になるくらい、私の意識は朦朧としていた。


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