溺愛伯爵さまが離してくれません!
伯爵さまは何も語りませんでした。
伏し目がちに、何かを考えているようでした。
私はそんな伯爵さまを邪魔しないようにその場を離れ、アルコールの臭いで充満した部屋の空気を入れ替えよう、と窓を開けます。

「なあ、リーナ」

「はい、何でしょう」

「リーナは、さ。こんな僕に幻滅しているかい?」

自嘲するように笑いながら、私に問いかけます。

その表情に、私の心はまたギュッと締め付けられました。

なぜそんな事をそんな顔で聞くのだろう。

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