溺愛伯爵さまが離してくれません!
「屋敷の馬車を用意してあるから、それに乗っていくといい」

「え?そんな!大丈夫です、伯爵さま!馬車くらいは町に行って自分で」

「気にしなくていい。僕がいいと言ったらいいんだ。使いなさい」

私が持っていたカバンを持つと、伯爵さまは一人先を歩いて行ってしまわれます。
慌てて伯爵さまを追う様に、私も小走りで後ろを着いていきました。

屋敷の前には馬車が既に用意されており、伯爵さまは馬車に私のカバンを乗せると、手を差し出します。

「さ、乗って。段差があるから気を付けて」

「で、でも伯爵さま・・・」

「いいから」

伯爵さまはこう、と言ったら意地でも曲げないお方。
仕方なくその言葉に従うことにしました。

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