溺愛伯爵さまが離してくれません!
「初めまして、グレイス様。リーナ・サイダルと申します。よろしくお願いします」

「リーナ嬢、私は貴族ではないから「様」、はいらないよ。グレイス、と呼んでくれ。その代わり、私もリーナと呼んでもいいかな?」

グレイスは、はは、と笑いながらそう私に言いました。

どうやら職業病が出てしまったようです。
そう指摘され、恥ずかしくなって顔が赤くなってしまいました。

「そ、そうですね、つい・・・。ではグレイス、呼び方はお好きなようにどうぞ」

「了解。じゃあまず、座って。まずはお互い両親を交えて話をしようか」


こうしてお見合いは始まりました。

たわいのない話から始まり、お互いの家の事、そして私の仕事の事。
食堂を営んでいるだけあって、グレイスは話がとても上手く、そして聞き上手な方でもありました。
最初は話を聞いて頷くだけだった私も、知らずの内に話せるようになり・・・。

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