溺愛伯爵さまが離してくれません!
・・・何を言っているのだろう、この人は。
父がいなくなった途端に、こんな下衆な話をして。
この人は貴族のお世話をする侍女達の事を、そういう目で見ているの?

「決してそんな事はありません!私は純粋に伯爵さまの身の回りのお世話をしているだけです。少しでも気持ちのいい生活が出来るようにと!」

私が声を荒げても、目の前のグレイスは笑みを浮かべたまま、逸らすことなく見続けていました。
先程まで優しい笑みだと思っていたのに、今は卑しい笑みにしか見えません。

何が目的なの!?
何が目的で私と・・・!!


「・・・なぜ、私と見合いをしようと思ったのですか」

「まあ、本音を言うと経験が豊富そうだと思ったからだよ。色々と知っているのかと思ってね」


「は・・・?」

「それ以外に何がある?夜を楽しませてくれる女なんて最高じゃないか。しかも、貴族を相手にしてきたなんて、庶民には経験したくても出来ない事だからね。それを経験出来るなんて早々ないだろう?」

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