溺愛伯爵さまが離してくれません!
「リーナ?」

伯爵さまの声に、ハッと私は意識を戻しました。

どうやら廊下で突っ立って考え込んでいたようです。
真後ろに伯爵さまがいたことすら気付かないくらいに。

私は慌てて振り向きました。

「す、すみません。少し考え事を・・・」

「?リーナらしくないね」

フフッと伯爵さまは笑うと、食堂の方へと歩き出しました。

私はその笑顔に、心が高鳴ります。
時折見せる伯爵さまの笑顔はとても優しく、その度に私の心はざわりと乱されるのです。

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