溺愛伯爵さまが離してくれません!

身分違い

大変なことになってしまった・・・。

伯爵さまが部屋を出て行ったからもなお、扉を見つめてただぼおっと立ち尽くす私です。

伯爵さまが私の結婚相手を探す!?
一番して欲しくはないことをどうして!?

思わず頭を抱えました。

私は伯爵さまが好きなのです。
そんな好きな方から紹介された方と結婚するなんて、なんて残酷なのでしょうか。

・・・ええ、分かっています。
伯爵さまとどう頑張っても結婚できないことぐらい。

だけど伯爵さまから紹介されてまで、好きでもない方と結婚したくはない。
それならばいっそ修道院にでも行って、一人でこれからの人生を過ごしたほうがまだマシ。

こんなことになるなら、父の見合いなど受けなければ良かった。
そうすればこんな気持ちになることはなかったのに・・・!

頬を伝う涙。
私の涙は枯れることを知らず、流れ続けます。

潰れそうなくらい、心が痛い。
どうやったらこの痛みから解放されるのでしょう。

「準備を・・・しなくては・・・」

こんなに辛いのに、自分にはただ泣くだけの時間があるわけでもなく。
乱雑に顔を擦り涙を拭って、いつもの服に着替えます。
そして伯爵さまの部屋へと向かうのでした。
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