溺愛伯爵さまが離してくれません!
分かったでしょう?
手の上げ下げだけでも、私達庶民とは全く違う。
ひとつひとつに意味があって、そこに礼儀や教養が隠されているの。
何も知らない私が、伯爵さまの隣にいれるわけないじゃない。

伯爵さまが恥をかくだけよ?
あなたは伯爵さまを笑い者にしたいの?

もう一人の私が、泣く私に向かって嘲笑しながらそう問いかけます。

分かってる、分かってるわ。
もう言わないで、諦めるから。・・・お願いだから。

泣きすぎて咽ながら、それでも涙は止まることなく流れ続けていました。

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