溺愛伯爵さまが離してくれません!
「・・・っ!!」

がばっと布団から顔を上げ勢いよく立ち上がると、そのまま私は部屋中の私物をかき集め、それをカバンへと押し込めていきます。
それは思い詰めた中で、出た結論でした。

今日の夜、寝静まった頃。
私はここから、どこか知らない街へと逃げる。

どこでもいい、途中でもし命を落としたとしても、もうそれは運命だと思うしかない。
どうせ自分の願いは叶うことはないのだから。
ならせめて、これからは心穏やかに過ごしていきたいの。

そう思ったら、あれだけ止まらなかった涙がぴたりと止まっていました。

大丈夫、私は誰に見つかることなく、ここから出られる。
これからは、私は私の好きなように人生を歩んでいく。

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