溺愛伯爵さまが離してくれません!
しっかりと父を見据え、そう話した。
思わず力が入り、拳を強く握ってしまう。

目の前の父は少し考え込むように、俯き加減で無言になった。
そんな父から目を逸らさずに、父からの答えを待つ。

「・・・分かった、認めよう。だが、必ずリーナを見つけ出すんだ、約束だ」

「・・・ありがとうございます!」

思わず声がうわずってしまう。
父から許しも出た。これで、もう何も心配する事はない。

「ただ、ひとつ。リーナに気持ちがない時は潔く諦めるんだ。好きでもないのに無理矢理、なんてことは私が許さない」

「そんな事・・・。分かりました、その時は」

その言葉に、高揚した気分が一気に萎む。

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