魔術師の瞳
「あら、遷宮さん。」
数百m離れても見抜けそうな派手な銀髪に濃い桜色の瞳。端整な顔立ちで目立つ少女が男子生徒二人と女子生徒二人を従えて一階中央の席に座っている。
「こんにちは。一ノ瀬さん。」
社交辞令の礼をしてそのまま個室のある二階へと向かおうとすると荒々しく席を立つ音の後にあざみの腕が捕まれた。
ぎちぎちと音がなりそうなほど強く握られるが、穏やかな笑みを浮かべたままあざみは振り向く。
「どうかしましたか?近衛さん。」
深い青の髪と瞳の青年 近衛 刀李(コノエ トウイ)は不機嫌そうにあざみの腕を引くと先程の少女がいるテーブルへと連れていく。
「先に上がっててください。」
無理矢理連れて行かれながら友人達にそう言い、友人達は心配そうな顔をした後に頷いて二階へと上がっていく。