魔術師の瞳




「帰ってきたか。」


刀を鞘へ戻しちょいちょい、と手招きする蒼蓮の元へと駆け寄る。


「近衛、お前今日遷宮を序列三位と呼んだな?」


午前中は曇っていたのに今は晴れ渡る空。並んだ二人の視線の先には刀李。
紫色の瞳を細めて蒼蓮が笑う。


「御三家でもない近衛の分際で、調子にのった発言をしたと思わないか?」


「蒼蓮様、お止めください。」


「いいか、あざみ。これは遷宮を配下に置く式の名誉にも関わるんだ。」


「蒼蓮様、ここで近衛を貶せば一ノ瀬が黙っていません。第一近衛のような家は気にせずとも良いはずです。」


あざみは少しの焦りを顔にだし、蒼蓮を見て言うが大した効果はないようだ。
刀李は膝をついたまま蒼蓮を睨んでいる。


「謝罪しろ。そうすればこれ以上の醜態を晒さずにすむぞ。」


どうだ?と首をかしげた蒼蓮、その後ろから複数の足音。二人の傍を過ぎて刀李の元へ。


「ひどい傷じゃない刀李!どうして式様と決闘を!?」


聖羅が刀李の手を取り、治癒魔法をかける。どうやら聖羅とその取り巻きらしい。


「よお一ノ瀬。そこの奴、遷宮を随分と下に見てるらしいな。第三位は部下の躾すらできないのか?」



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