魔術師の瞳
「久しぶりだね、蒼蓮君。」
懐かしそうに緑色の目を細める冬夜は右手を差し出す。
その手をしっかりと握った蒼蓮は、そのまま抱き締められた。
「君にも会いたかったんだ。」
男同士の暑い抱擁だが、二人とも容姿端麗で絵になる。ハリウッド映画の1シーンのように豪華だが爽やかな二人だ。
あざみが微笑ましそうに見ていると、二人は離れたが見つめあったまま。蒼蓮が問う。
「今まで何勝何敗だ?」
「25勝25敗10引き分け、お互い同じだよ。」
「そうか。」
頷いた蒼蓮はあざみの傍に歩み寄り、咳払いを一つ。そして、真面目な顔をしてあざみの両手を取って握る。
黒髪が風に靡いて、中性的な美貌と相まって天上人のような美しさだ。
「あざみ。俺と結婚してほしい。」
「そ、蒼蓮様?今、なんと仰いましたか?」
「お前じゃなきゃダメなんだ。絶対に幸せにする。結婚してくれ。」
目を瞬くあざみの手を離して、蒼蓮と冬夜は目を合わせた。
そして二人して笑って、拳をぶつけ合う若者らしい挨拶。