魔術師の瞳
呆れたような面倒くさがるような声色でそう言った燕は、ごろごろと小さなアスファルトの欠片が散らばる地面に座る。
ここはどうやら聖ミランシア学園の屋上らしい。それも数ヵ月前に取り壊しが決定した廃棟の屋上。
生徒が時折訪れては普段使えない爆破魔術等を行うため随分と荒れ果てている。
「私は君の母親から言伝てを預かった伝書鳩みたいなもんだ。」
「ならグラウンドでも良いのでは?」
「あのなあ、私の配慮なんだよ。これだから育ちのいい坊っちゃん嬢ちゃんは嫌いなんだ。」
怒りを剥き出しにしてそう言った燕に怪訝な目を向けるあざみ。
舌打ちの後に燕は口を開く。
「あんた、と言うか遷宮家の人間はこれから一ノ瀬家に命を狙われる。いや、厳密に言うと、一ノ瀬と四織だ。無論私達、遠儀を抜いた四織だがな。」