魔術師の瞳





そう冬夜が言って始まった会話は数分だったが親睦を深めるのには十分で、一段落するときにはあざみも随分とリラックスした表情であった。


「京極様はお話で聞くよりも人間味のある方ですね。」


くすくすと笑い声混じりでそう言うと、少しだけ目を大きく開いた冬夜が首をかしげる。


「それは誉めてるのかな?」


「ええ。」


楽しそうに笑うあざみを見て冬夜は短く息を吐くように笑い声を溢した。


「遷宮さん、君のことを名前で呼んでもいいかな?」


「どうぞ。お好きなように呼んでください。」


「ありがとう、あざみさん。君も俺のことを名前で呼んでくれると嬉しい。」


「え、あー、冬夜様?」


「違う違う。様はいらないよ。」


笑みを溢す冬夜に、戸惑いながらもあざみは


「冬夜。いえ、冬夜さんが良いです。」



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