魔術師の瞳
昼と同じレストランで食事。一階窓席に通され、蒼蓮と冬夜に対面するように座る。
一つの物事ではライバルであっても総括すると良い友人として付き合えるさっぱりとした性格の二人は随分と仲が良く、いつもより蒼蓮は上機嫌で冬夜も良く笑う。
「あざみさんに一回も俺の話をしなかったの?」
「そりゃ友達の話なんかしてどうすんだ。」
「俺にはよくあざみさんの話をしたのにね。もしかして独占欲?」
「なわけあるか。お前こそ俺に家族の話をしないだろ、そんなもんだ。」
「なるほど、蒼蓮にとってあざみさんは恐い両親と同じ存在なんだね。」
吹き出した蒼蓮に澄まし顔の冬夜。あざみはくすくすと笑い始めた。
仲睦まじい三人の様子に辺りの視線は釘付け。御三家の序列1、2と式の頭主が同じテーブルにいると言うのは例年ならあり得ない話だが、思春期の男女には家同士の対立なんて関係ないのだ。
「そう言えば、あざみさんのお兄さんは魔法使いに認定されたんだってね。おめでとう。」
白壁城でもその名を知らしめ神童と呼ばれた冬夜だが、魔法使い認定は規準年齢に達しておらず試験すら受けられなかったのだ。心残りなのだろう。
「ありがとうございます。そのお言葉兄に伝えます。」
「すごいな巴(トモエ)さんは。これは遷宮が序列1位になるかもしれないぞ、冬夜。」