魔術師の瞳




遷宮 巴。それがあざみの兄の名だ。年齢は21、あざみと同じ紫色の髪と瞳の青年で男気溢れたむさ苦しい男である。体格が立派で、凛々しい顔立ちの巴はあざみとは正反対の明るく豪快な性格だ。
蒼蓮や冬夜には及ばないにしろ小さい頃から神童と謳われ、遷宮家歴代最年少で白壁城に入学した。
あざみ自慢の兄だ。


「確かに、魔法使いには勝てないな。俺が頑張らなきゃね。」


屈託のない笑顔でそういう冬夜に蒼蓮も喉をならして笑う。
ウェイターが前菜のマリネを運んできたので巴の話は終わる。
時おり会話をしつつゆったりと食事をすると気がつけば40分経過していた。
もうそろそろ門限の八時だ。ランクが高位な彼等にとって門限なんてあってもないに等しいのだが、流石は名家の御子息御令嬢。門限を守って寮へ帰る。


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