魔術師の瞳
冬夜はあざみの左隣へ、華風はあざみの後ろの席だ。
「あざみさんと同じクラスになれるなんて嬉しいよ。蒼蓮に嫉妬されるだろうけど。」
ふふっ、と笑った冬夜にあざみも微笑み返した所でベルが鳴り一限目の始まりが告げられる。とは言っても二人は自習だ。
様々なランクが混在するクラス編成では普通科目の授業もそれぞれのランクに割り振られた授業教室がありランクJ以上の生徒には出席に関わらず自動的に単位が与えられる。己の研究や鍛練に勤しめということだろう。
HR教室はもっぱらSHRやその他特別授業の際に使用されるようなもので、数名のランクR以上の生が普段は使用している。
「あざみ、冬夜ちょっといいか。」
突然入ってきた蒼蓮が近くにあった椅子に座り、二人は何となく距離を詰めて話を聞こうとする。
「このクラスに転入してきた華風エイルってのは本物の華風か?式家の隠密や情報網を使ったとしてもその居住地どころか存在すらつかめない…」