魔術師の瞳


「凍った泉の水底よ、沈んだ剣のありかを問おう。
 凍てつく水の濁りの下の、黄金の剣を示したまえ。
 」


至って簡素な詠唱の後に、眩い光が華風を包み数秒後
華風の目の前に銀髪の美青年が降り立った。


「人形の使役とは、やるな。」

召喚魔術は対象が人に近づけば近づくほどに難易度が上がる。あざみが昨日召喚したウールヴヘジンは狂戦士と呼ばれる類いのもので召喚の素早さと引き換えに理性の大部分を封じられている。粗野だが強いのである。
だが華風が召喚したのは完璧な人形、それも美しい青年だ。実力はかなりのもの。ランクAは確定だ。


「そなたが我を喚びし術者か…久しいな、華風の者か」


高貴な声で問う青年は鮮やかな青瞳を細め、目の前の少女を見ている。


「私が術者です。雪の王フリールオール。」


壮麗な装束に身を包んだ雪の王は品定めをするように爪先から頭のてっぺんまで華風を見つめ、


首を横に振った




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