魔術師の瞳



風と光が消える頃には雪の王の格好が一般生徒と同じく制服になっており、後ろに撫で付けられた銀髪と相まって高貴な生徒のようだ。
無論高貴な生徒と比喩しても纏う雰囲気は人ならざる者であることをありあり示し、その場にいるだけで空気が引き締まる。


「我もそなたと共に過ごそう。良いだろう?主よ」


「ええ…?はぁ、まあ良いのでは?良いでしょうか?」


一人ではどうにもできないので困りながら教師を見る。
駆け寄ってきた教師も学生姿の雪の王に目をとられつつ、連絡魔術で理事長と話し合い頷いた。


「ふむ、華風にはすまんがこういうことだ。フリアリア、勤めを怠ることなかれよ。」


「はい、お兄様。華風様、不束者ですがよろしくお願い致します。」


花が綻ぶ様に笑った雪姫は美しく、華風も微笑んだ。その胸中は察せないが一応は一段落ということだろう。


その後、華風は華々しい成績を残して大方測定を終えた。残すは対人試験のみ。
大体の実力は分かったので三人と雪の王がグラウンドから去ろうとするのを測定官を勤めている教師が呼び止めた。






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