眩暈
私とルカは、よく話して、笑って、飲んで、お互いを理解しようとしたし、お互いをよく気遣った。彼が何かしら急用で出かけなくてはならない時、私はチキータを散歩に連れていく役割まで果たした。もっとも、近くの公園まで彼女を連れて行き、私は煙草を吸いながら勝手に遊ばせていただけだったけれど。スーパーへの一週間分の食料の買出しも、いつも二人だった。それはいつも木曜の夕方だった。金曜と土曜は、飲んだくれることと踊り明かすことに全力を賭けていたし、日曜はドイツのスーパーはほとんどのところが営業をしていなかったから。チキータを連れて、二人で通りを歩く。常に犬と東洋人を連れたルカの姿は人々の目に奇異に写ったかもしれない。通りを歩いていると、いつもルカの知り合いの誰かしらに出くわした。彼はその度に友人たちと抱き合ったり、頬にキスをしたり、短い近況報告などをしたので、ただスーパーに行くためにとても時間がかかった。だけど、私はそれが嫌いではなかった。私の国が失ってきたものが、まだベルリンには残っている気がして、なんだかとてもノスタルジックな気持ちになった。セルビアンに比べたら、ベルリーナーは冷たいものさ、とルカは私の意見を鼻で笑ったけれど。
お互いが家にいる時は、どちらかが夕食を作ることにしていたので、食材も二人で選んだ。大きなカートで年甲斐もなく遊びすぎて、店員に怒られたこともあった。私たちはまったく悪びれることもなく笑い合って、また同じことを繰り返す。今度は店員の目を盗んで。重い荷物は彼がいつも持ってくれたので、私にとって彼はヒーローだった。スーパーから出ると、そこにはいつも美しい夕日が広がっていた。ベルリンの青い空がピンクに犯されていく様。それをゆっくりと切り裂く飛行機雲。青々と茂った緑の小道。公園から聞える子供たちのはしゃぐ声。それから恋人たちの甘い視線、二人にしか聞えない声。そのどれもがベルリンの夏の一瞬のきらめきの中にあった。私たちはそれらを一緒に見ていた。
お互いが家にいる時は、どちらかが夕食を作ることにしていたので、食材も二人で選んだ。大きなカートで年甲斐もなく遊びすぎて、店員に怒られたこともあった。私たちはまったく悪びれることもなく笑い合って、また同じことを繰り返す。今度は店員の目を盗んで。重い荷物は彼がいつも持ってくれたので、私にとって彼はヒーローだった。スーパーから出ると、そこにはいつも美しい夕日が広がっていた。ベルリンの青い空がピンクに犯されていく様。それをゆっくりと切り裂く飛行機雲。青々と茂った緑の小道。公園から聞える子供たちのはしゃぐ声。それから恋人たちの甘い視線、二人にしか聞えない声。そのどれもがベルリンの夏の一瞬のきらめきの中にあった。私たちはそれらを一緒に見ていた。