眩暈
うきうきした気分で外に出ると、さっきまで晴れていた空はいつの間にか曇っていた。私たちはすぐに自分たちのアイデアを後悔したけれど、どちらもやめようとは言わなかった。チキータは、嬉しそうに尻尾を振っていた。二駅程歩いて、Treptower parkというシュプレー川沿いの大きな公園へ着いた。私たちはそこを愛していた。深い緑。ドイツの森のイメージ。夏場の週末に来ると人で溢れている公園も、平日の昼近く、ましてや肌寒く、曇り空の下はとても静かだった。さわさわと風に揺られる木の葉の音がとても気持ちよかった。川べりの芝生の上に大きなブランケットを引いて、私たちはその上に座った。肌寒かったけれど、私は文句を言わなかった。私が言い出したことだったし、この幸福な時間を自分から無駄にしたくなかったから。ルカが淹れてくれたコーヒーが私を暖めてくれた。彼が持参したアウトレット用のスピーカーからは、さっきのもの悲しい音楽に代わって、スペイン語の陽気な曲が流れていた。
「そう言えば、セルビアの国歌ってどんな曲なの?」
私は突然思い出したように聞いた。彼は私が作ったサンドウィッチを頬張りながら、しばらく考えた後で言った。顔には“このジャパニーズガールはどうして急にそんなこと言い出すのだろう”と書いてあったけれど、私は気にしなかった。彼はしばらく考えた後で、
「実はセルビアの国歌、知らないんだ」
「そう言えば、セルビアの国歌ってどんな曲なの?」
私は突然思い出したように聞いた。彼は私が作ったサンドウィッチを頬張りながら、しばらく考えた後で言った。顔には“このジャパニーズガールはどうして急にそんなこと言い出すのだろう”と書いてあったけれど、私は気にしなかった。彼はしばらく考えた後で、
「実はセルビアの国歌、知らないんだ」