強引でもいい、私を奪って。【SPシリーズ大西編】
「えー篠田さん、俺は無視ですかー?」
その男、足もとにじゃれつく子犬のごとく。
なんか悠って、最初は愛想の良い人だと思っていたけど、実は裏表激しい?
「黙れ、犬が」
篠田さんは悠の方を見もせず、斬って捨てるように言う。
悠は寂しそうに「くぅん」と泣き……その後、小さく舌打ちをした。冷めた目をした、とっても憎らしい顔で。
ちょっと。その顔、私にしか見えてないけど……もしや悠って、腹黒?
篠田さんのことは良く思っていないようだから仕方ないとして、高浜さんたちに対する態度も演技だとしたらちょっと怖い。
「これをお返しします」
胸ポケットから篠田さんが何かを取りだす。それは、悠経由で警察に預けていた、母の形見のネックレス。
「ありがとうございます! 何かわかりましたか?」
両手で受け取ってお礼を言ったけど、篠田さんの表情はクールなままだった。