強引でもいい、私を奪って。【SPシリーズ大西編】
「もちろん、今まで彼女がいたこともあるみたいですけどね。結局妹さんのことが一番で、相手の方に愛想を尽かされてしまって破局ということが多かったみたいです。それが続くうち、誰も傷つけないためには、誰とも深い関係にならない方が良いと思ったんでしょう」
そうなんだ……。
でもたしかに、若い頃から親の代わりになって妹さんのために色々とやっていたとしたら、恋愛なんてしている場合じゃなかっただろう。
彼女がいないと聞いて安心するどころか、なんだか力が抜けてしまった。
ぽすんと後部座席に座ってうつむくと、高浜さんの声だけが聞こえる。
「まあ、これからのことはわかりませんけどね。妹さんもいい大人ですから」
「そうですね……」
私と同い年くらいってことは、彼氏がいて結婚を考えていてもおかしくない。
むしろ、あんなに可愛いのに、彼氏がいないことの方がおかしい。性格も悪くはなさそうだったし。