強引でもいい、私を奪って。【SPシリーズ大西編】
「SPがマルタイを好きになることもあります。俺が実証例ですから。霧子さんも、まずはご自分の方の決着をつけて。それから頑張ってくださいね」
「はい……えっ!?」
高浜さん、今何て? それじゃ、私が悠に片思いしているみたいじゃない。
普段ずっと一緒にいるわけでもない高浜さんが、どうしてそんなことを思うの。
「いやいやいや、私そういうのじゃ……」
「あはは。今のは俺の独り言だと思って聞き流してください」
そんな大きな独り言あるわけない。
高浜さん、勘違いはやめてください。そう否定しようとした瞬間。
──コンコン。
「高浜さーん、開けてくださーい」
突然現れた悠が、運転席の窓ガラスをノックしていた。
ビクッとする私とは対照的に、冷静にロックを解除する高浜さん。
悠はトランクにリュックを載せてから、後部座席……つまり私の隣に座った。
こいつ、すごく耳が良いんじゃなかったっけ。
今の高浜さんとの会話、聞こえてたりして……。